嘘をつくな。

「嘘をつくな」
父の教えである。
その教えの話として「オオカミと少年」
をしてくれた。
怖かった記憶がある。

後年、このイソップの話は有名な寓話であることを知ったが、
最初に聞いたときの衝撃は大きかった。

ある村に、ヒツジ飼いの男の子がいました。
 来る日も来る日も、仕事はヒツジの番ばかり。
 男の子はあきあきしてしまい、ちょっといたずらをしたくなりました。
 そこで男の子は、突然大声を上げました。
「大変だ! オオカミだ。オオカミだー!」
 村人が驚いて、駆けつけて来ました。
 それを見て、男の子は大笑い。

 何日かして、男の子はまた大声を上げました。
「大変だ! オオカミだ。オオカミだー!」
 村人は、今度も飛び出して来ました。
 男の子はそれを見て、またもや大笑い。

 ところがある日、本当にオオカミがやって来て、ヒツジの群を襲いました。
 男の子は慌てて、叫び声を上げました。
「オオカミが来た! オオカミが来た! 本当にオオカミが来たんだよー!」
 けれども村人は、知らんぷりです。
 何度もうそをいう男の子を、誰も信じようとはしなかったのです。
 かわいそうに、男の子のヒツジはオオカミにみんな食べられてしまいました。


本当にこの話を聞いて、嘘だけはつくまいと思った。
遠い日の父の記憶である。
by shin0710s | 2012-05-28 22:40 | ことば | Trackback

ダックス4匹の愛犬と猫1匹の動物たち。周囲約7kmの世界で見聞したことを日記風に書いています。


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