2005年 11月 29日
授業で子どもが変わる
町内の4年担任を中心に本校に集まり研究会が行われた。
題材は、「山の粥」(出典「山の粥~部落の伝承十話~)である。
本題在は、山のふもとに住まわされ、近隣の農民からも厳しい扱いを受けていた村の人々が、山の粥をつくり、飢饉の際に農民たちにもふるまい、多くのいのちを助けたという部落の伝承話の一つである。
武士、農民たち、ふもとの村の人たちの間に作り上げられた差別の構造。
そしてそのような中でも人間として大切な優しさを失わず、
知恵を出して生きる術を生み出してきたふもとの村の人々。
そのたくましさ、暖かさなど、多くの点で学ぶことの出来る
教材として授業に取り入れている。
山の粥とは、山に棲む獣の骨等から作った今でいうスープである。
獣の肉等は殿様に献上しなければならなかったそうである。
この題材を学ぶことを通して、学級の問題を明らかにし、
差別のないよりよい学級をめざそうというのである。
要するに学級の中の課題と重ね合わせる必要がある。
教材を読みとることが目的ではない。
しかし、教材が提起するものについては、ある程度押さえなければならない。
この教材を理解するには、江戸時代の差別の構造を理解しなければならない。
さらには、部落のおかれている地理的なこと、生活への
諸々の制限等も理解しておくことが必要である。
そう考えたときに小学校4年生の学力ではかなり無理が来るように思える。
教材が難しいと説明が多くなる。
必然的に教師主導の授業になっていく。
今日の授業もそうであった。
教師の声が大きく、子どもの声が小さい。
一問一答にならざるを得ないのである。
本時の目標は、
「ふもとの村」の人々に対する態度のおかしさに気づき怒りをもつこと」
となっている。
おかしさに気づくと言うより、おかしさに気づけ、
と教師がリードしていく。
子どもは、一生懸命に教師の思いに
ついていこうとしている姿がわかる。
「おかしさ」が「怒り」に変わるのは
自分への差別と重なるときである。
その点から、目標にはたどり着けなかった。
ただ、教師の主張点や提案性はあり、研究会はいろいろな意見が飛び交うこととなった。そういう意味に於いていい授業であった。