2016年 12月 14日
木守りの柿
明日はずいぶん冷え込みそうである。
そして冷たい雨が降り始めている。
境内の柿の木に次々に訪れていた鳥たちも姿が
見えなくなった。
あれだけ多くなっていた渋柿も私たちの口に入り、鳥たちの啄むこととなり
柿の実も残り一つとなった。
「木守り」
である。
昔の人は柿の実をすべて収穫せず、必ず大きな良い実を1個ないし数個を枝に残した。
それを木守り柿と呼ぶのだが、鳥たちにも分かつためなのか、
天の恵みへの感謝なのか、細やかな心遣いがそこにあるという。
暗誦しておきたい、声に出して読みたい、子どもたちに伝えておきたい詩がある。
三好達治の詩である。
残果
友らみな梢を謝して
市にはこばれ売られしが
ひとりかしこに残りしを
木守りといふ
蒼天のふかきにありて
紅の色冴えわたり
肱張りて枯れし柿の木
痩龍に晴を点ず柿
木守りは
木を守るなり
鴉のとりも鵯どりも
尊みてついばまずけり
みぞれ待ち雪のふる待ち
かくてほろぶる日をまつか
知らずただしは
寒風に今日を誇るか