木守りの柿

冷たい北風が吹き始めた。
明日はずいぶん冷え込みそうである。
そして冷たい雨が降り始めている。
境内の柿の木に次々に訪れていた鳥たちも姿が
見えなくなった。
あれだけ多くなっていた渋柿も私たちの口に入り、鳥たちの啄むこととなり
柿の実も残り一つとなった。
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「木守り」
である。
昔の人は柿の実をすべて収穫せず、必ず大きな良い実を1個ないし数個を枝に残した。
それを木守り柿と呼ぶのだが、鳥たちにも分かつためなのか、
天の恵みへの感謝なのか、細やかな心遣いがそこにあるという。
暗誦しておきたい、声に出して読みたい、子どもたちに伝えておきたい詩がある。
三好達治の詩である。

 残果
 友らみな梢を謝して
 市にはこばれ売られしが

 ひとりかしこに残りしを
 木守りといふ

 蒼天のふかきにありて
 紅の色冴えわたり

 肱張りて枯れし柿の木
 痩龍に晴を点ず柿
 木守りは
 木を守るなり

 鴉のとりも鵯どりも
 尊みてついばまずけり

 みぞれ待ち雪のふる待ち
 かくてほろぶる日をまつか

 知らずただしは
 寒風に今日を誇るか


by shin0710s | 2016-12-14 14:58 | | Trackback

ダックス4匹の愛犬と猫1匹の動物たち。周囲約7kmの世界で見聞したことを日記風に書いています。


by shin0710s