子どもたちは考える、相手に伝わってこそ・・・

本日は人権教育の研修。
中学校の校長先生による講話である。
「生きる力を育む礎となる教育をめざして」
との演題で、中学生の姿を語られた。
人権教育が根付いている様子が窺える。

人権教育とは、と考えると言葉だけが先行して
抽象的になりやすい。
子どもたちの姿がどうなのかが大切なのであろう。

前任校での出来事である。

直子先生と3年2組のお話

1 はじめに
直子先生と3年2組のお話です。2組は28人元気のいい学級です。先生の声もでかい。悪いことして逃げようものなら、「こらーまてー」とどこまでも追いかけてくる大きな声で。

2 日記大好き3年2組
日記を書くのが大大好きな子どもたちです。
ちょっと、日記をのぞいてみましょう。きょうさんの日記です。

きょう、お風呂の水を入れました。まずボイラーの入れました。次にお風
呂の水がちょうどよくたまるようにセットしておきました。次にコンセン
トみたいなものを穴にさしこみました。さいごにお湯を出してふたを閉め
ました。お母さんが帰ってきて
「ありがとう」
といってもらえたらいいな、と思います。お母さんが帰ってくるのが楽し
みです。

 とてもいいなあ、と思って読みました。忙しいお母さんのことを思い浮かべながら自分に出来るお手伝いをしている様子がとてもよく分かるのです。
 教室の中ではいろんなことが起こります。けんじろう君の日記です。

「あ・・・」
小さなおかずを取ろうとしたとき、手がすべって中のサラダが落ちてしま
いました。
 でもせんせいは、
「よかったねー、ぜんぶおちなくて」
といってくれたけど、みんな
「あ~あ、あ~あ」
といいました。ぼくはとっても悲しかったです。
なぜかって、わざとこぼしてないからです。みんなわーわーいっています。
でもだいき君が
「いいじゃん、たべられるよ。のこってるんだから」
といっていました。
ぼくはとってもうれしかったです。
ともだちっていいな~とちょっぴりおもいました。

 この3年2組の日記は楽しいのです。次々に授業のことともだちのこと、家の暮らしのことが日記に出てきます。乙女小学校のみんなと一緒ですね。

3 お宮のすもう大好き
 ところで、10月になると、3年2組のみんなが首を長くして楽しみにしていることがあります。なんだと思いますか?
 それでは、また3年2組の日記を読んでみましょう。
 まずけんせい君の日記です。
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きょう、学校が終わって、走って帰りました。わけは、すもうがあるか
らです。うえ島でありました。1回目は、あきひろ君とでしました。そし
てたおされて負けました。
2回目は、ひろと君とでぼくがふんばって。ひろと君がぼくの頭にぶつか
って「いちゃー」といっているすきにぼくが押して勝ちました。うれしか
ったです

 さやかさんも日記を書いています。

きょう4時からなまずですもうがありました。私以外の女子は5人きてい
ました。みんなすもうが始まる前に、練習をしていました。いよいよう始
まりました。3年生の男子が終わりました。次は女子です。私たちは2番
目でした。いよいよ2番目が始まりました。私は、「落ち着けさやか」と
思いました。あいてはれいなちゃんでした。私が勝ちました。とってもう
れしかったです。

 10月になるとあちこちのお宮ですもうがあるのです。どうして、このすもうをみんなが楽しみにしているかって?
 それでは、たいぞう君の日記を見てみましょう。

きょう、高田のすもうにかっちゃんとこうせい君とでいきました。そして
ごみをひろいました。
すもうが始まりました。やっちゃんが当たって、ぼくも当たりました。
「はっきょいのこった」
ぼくが負けました。そしてしているあいだにりょうへい君がきました。り
ょうへい君はすごかったです。
 そして、ぼくのお金は、千五百円でした。とても楽しかったです。

実は、お宮で奉納相撲といってすもうがあるのです。そしてそのすもうにでるとお花がもらえるのです。勝っても負けてももらえるのです。それで、みんな楽しみにして出かけるし、見ている大人の人たちも元気な子どもの姿を見て取っても喜ばれているのです。
 甲佐でもお宮のすもうがありましたが、今はどうなんでしょうか。
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4 くやしい気持ちをどう伝えようか
 それでは、高田のすもうの日記をもう一つ読んでみましょう。みほさんの日記です。

きょうすもうがありました。私は、女の子だからでれませんでした。私は
「したいな」と言いました。なまずでは出来るのにと思いました。高田の
神様が女の子を嫌っているらしいのです。何でかなと思いました。私はと
ってもくやしかったです。怒りました。

直子先生が、三年二組のみんなにこの日記を紹介しました。子どもたちから声があがりました。
「どうして女の子は参加できんと」 「鮎川はできるよ」
「おかしい」「はらがたつ」
「うったえよう」「だれにいえばいいと」
「もんくじゃいかん、おねがいせなん」「どうやって?」
「電話したら?」「電話じゃうまくつたわらん」
「じゃ手紙」「みんなで、文を考えて、手紙を書いたらいい」
「たぶん、鮎川の区長さんに言えばいいけん」
2組のみんなは何を伝えたらいいか考えました。そして、相手に失礼のないようにという気持ちをもっているのです。
 またこんな言葉も出てきました。
「もしかしたら、昔からのいい伝えがあるのでは・・・、わけがあるだろうから、聞きたい。」
「高田の人たちは女の子を大事にしていたから、けがをしないようにという気持ちがそうなったのかも。」
 すごいなあ、いろんなことを考えるんだ。直子先生もうれしくなってきました。
 また、すもうのおもしろさを言う中で、
「本当は、お小遣いをもらえるけんというのが大きい。」と本音も出てきました。
「本当のことだけど、なんか言いにくい」「本当のことだから、書いた方がいい。」
「そうだ、みほちゃんはどうおもうかきかにゃん」
みほさんが、お小遣いのことは関係がないといったことでみんな納得。そこで、そのことについては、書かないことになりました。
ここにそのときの手紙があります。

区長さんへおたずねしたいことがあります。この前、高田神社ですもう
がありました。
そのとき、3年2組のある女の子がすもうが出来なくて悲しい思いをしま
した。それは、女の子はすもうに出られないと言われたからです。
 なぜ、高田では、おすもうが出来ないのですか。
 何か、言い伝えとか、理由があるんですか。
 鮎川とか上山では女の子も出られます。
 女の子もみんなと楽しんですもうをしたいです。
 女の子も出られるようにぜひ考えてください。
 おねがいします。
三年二組一同より

この手紙は、とってもきれいな字で書いてあります。
ちさとさんとしおりさんが清書したそうです。
それは、文字が丁寧でないと、心もうまく伝わらないかもしれないからだというのです。

直子先生、みんなに
「みんなすばらしいね、先生感動した」
といったら、すかさず、
「せんせい、みほちゃんがすごいよ」
との声が出てきたと直子先生が私に話してくれました。

そうそう、次の年、みほさんも高田のすもうに出たそうですよ。

子どもたちは真剣に聞いてくれる。
アサーティブネス(非攻撃的自己主張)という言葉があるが、
3年2組の子どもたちは自然にそのことを実践している。
人権教育とは、と力むことなく日常の生活をしっかり見つめることの中から
どうしたらいいか、どう生きたらいいかを自ら学んでいく。

子どもの力はすばらしいのである。
いかにその力を引き出し、よい方向に向けるか
そこに教師と親との連携が求められる。

コウメは散歩なし、当然サクラも。
家のまわりでうろうろするのみ。
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やっぱりコウメは元気がない。
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by shin0710s | 2006-11-27 19:56 | Trackback

ダックス4匹の愛犬と猫1匹の動物たち。周囲約7kmの世界で見聞したことを日記風に書いています。


by shin0710s