晩秋から初冬へ

晩秋が似合う季節となった。
運動場も銀杏の葉で一段と明るい。
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「今の保護者って、私たちが教育してきた世代ですよね」
50歳代の女先生の言葉である。
「本当にびっくりしました。」
「音楽会の聞き方が悪いんです。話はする。動き回る。
ビデオを勝手な場所に据える。」
とうとう、ある校長先生が注意されたところ、怒って会場から出ていったというのである。
「公の場という意識がないんですね。」
「自分勝手というか、自分が良ければいい、そんな感じなんですね。」

20歳代の頃担任した子がちょうど小学生、中学生の親になっている。
そのころの時代は、個の尊重されるときと重なっている。
ゲームが次々につくられていた。それもゲームセンターでなく、
我が家で出来るゲームである。更に、外食産業が盛んになってきていた。
個室を持ち、自分用のテレビを持つ。
そしてゲームをするために個人の家に行く。
一緒にいてもそれぞれが自分の世界に入っている。
ゲームをする子。
漫画を見る子。
そして、家庭用ビデオが普及しだしている。
つながりを深めるより
むしろ、つながりを阻害する要因がどんどん出てきていた。

そのころ、私はどうであったろうか?
友達教師をめざしていたのではなかろうか?
友達のように言葉のやりとりをしていた。
今で言う「ためぐち」をきく子どもたちであった。
それが、いい関係のように思っていた。
丁寧な会話、尊敬語を使われると、子どもたちとの関係が遠く感じてしまう、
そう思っている教師が多かったように思う。

勝手にすることを個性としていたのではないか。
集団の中で光るものを個性と言うより、集団からはずれるものを
個性として弁護していたのではないか。

入学式で保護者に言う。
「記録より、記憶に残してください。」
と。
ビデオやデジカメを抱えて、我が子をしっかりと
写しておられる保護者が増えている。
ファインダーを通して我が子を見るのではなく、
みんなの中で一緒に活動している我が子をしっかり脳裏に残してくださいと。
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学校の周りもすっかり晩秋のたたずまいである。
朱色の葉も少なくなっている。鰯雲が空に広がる。

本格的な冬ももうそこまで来ている。
by shin0710s | 2005-11-28 22:56 | Trackback

ダックス4匹の愛犬と猫1匹の動物たち。周囲約7kmの世界で見聞したことを日記風に書いています。


by shin0710s