晩秋の夕暮れに。

急に11月らしくなった。
日暮れ時の山脈は晩秋の趣がある。
学校も赤く染まる。
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書棚から、昔の文集が出てきた。
ぱらぱらとめくったら、子どもの詩。

 教  室

はずれかけた習字紙
破れかけた絵
カバーのなくなったオルガン
ほこりのかぶったテレビ
こわれたストーブ
落書きいっぱいの机
ネジのとれた椅子
ぼろぼろのうわぐつ
ちらかっぱなしのロッカー
なげやったままのぞうきん
まだ二月の給食カレンダー
破れた黒板ふき
何日も前のみかんやバナナ
かすのたまった鉛筆けずり

にこにこ顔のひろみ
むすかしいなという顔のおせい

机の上には色とりどりの消しゴムのかす
よごれたガラス
赤くなりそうなイチゴ
鉢いっぱいのパセリ
すみのほうで私たちを見つめる雷鳥
片方だけかかったブランコてさげ
よごれたなわとび
ぞうきんのない椅子
何日も借りてある本
ボロボロのふきん
がちゃがちゃのお盆

かみとにらめっこのなおちゃん
うろちょろするのは先生

ぶらーんと下がったひも
落書きいっぱいの帽子
散らかっている先生の机
黒いのが見えたボール
たおれた本

これが私たちの教室
ぴかぴかの教室じゃないけど
私たちらしい
どんなに汚くても
心は明るい


是が私の教室であった。
約30年前のことである。
ずいぶん子どもたちに助けられ、育てられたと思う。
今こうして教師を続けておれるのもこの子どもたちのお陰である。

コマメがいて元気であるが、
ときおり母を思い出すのかもしれない。
コウメである。
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by shin0710s | 2007-11-12 21:51 | Trackback

ダックス4匹の愛犬と猫1匹の動物たち。周囲約7kmの世界で見聞したことを日記風に書いています。


by shin0710s