2008年 10月 24日
遠い昔の頃。
ウナギといえばやはり蒲焼きである。
こんがり焼けた背びれにタレが浮き上がったような
ふくよかな肉質。
そしてご飯にしみこんだ蒲焼きの肉汁。
魚の中で何が一番かといえばウナギの蒲焼きである。
鯛も鯉も鮎もヤマメもウナギにはかなわない。
柳川に行ったときウナギのせいろ蒸しを食べた。
これがおいしかった。
確か吉松屋であった。
待つこと1時間あまり。
空腹に勝る美食なし、ではないが
蒲焼きこそ一番と思っていたが、
せいろ蒸しのおいしさには負けてしまった。
それ以来、ウナギはせいろ蒸しとなっている。
一度「櫃まぶし」にチャレンジしたが、わたしとしては
せいろ蒸しに軍配をあげる。
このウナギといえば、小学生の頃を思い出す。
ウナギは小学生にとって現金を得ることができる
貴重なアルバイト?であった。
町を流れる緑川にウナギを捕りに出かけるのである。
使われるのは、「うなぎてぼ」。
1mあまりの竹の筒でウナギの寝床みたいなものである。
そして、その中にミミズをえさとして入れておく。
さらに藻をいれて。
これを夕方川に仕掛けるのである。
次の日の早朝その「うなぎてぼ」を回収にいくと
その中にウナギが入っているというのである。
そのウナギは、町の割烹屋に持って行くとなにがしかの
お金で買い上げてくれる。
親から小遣いなど祭りのときしかもらえない子どもたちにとって
大事な現金収入だったのである。
ただ、早朝にいったらうなぎてぼが盗まれたなど
起こっていたらしい。
「うなぎてぼをすける」場所は、おおよそ見当がつくものである。
50年近く前のことである。
それも、わたしの父が、ウナギを捕るなど絶対許してくれなかった
ことだけに懐かしさと少々の悔しさで思い出す。
どんなことを記憶しながら成長していくのだろう。